ヒルゲイツの日記帳

しがないYoutuberをしているヒルゲイツの思ったことを適当に並べていくブログです。

JR東海はコスパ最悪のリニアではなくN700Sの改善を優先した方がいいと思う件

どうもヒルゲイツです。

 

今回は真面目な話。

 

JR東海は凡そ約7兆7000億から9兆2000億円をかけて東京大阪間を1時間で結ぶ路線を作ろうとしています。

結論から言わせてもらうと、正直コスパ最悪だと感じます。それよりN700Sの改善や、今までの技術を利用した新型高速鉄道列車を輸出する方向に舵を切ったほうが後のJR東海に役に立つと考えます。

 

私は海外で生活している海外鉄道系Youtuberなので、海外需要という点に焦点を合わせてみましょう。

 

リニアはドイツと中国で運用が計画されましたが、ドイツはあまりのコスパの悪さ、そして訴訟リスク等をふまえて全てのリニア新幹線計画は頓挫、凍結されました。

一方の中国は上海トランスラピッドとして実際に運用しておりますが、同じく訴訟リスクがあることによって延伸計画は頓挫。また上海トランスラピッドそのものの維持コストが予想より遥かに上回っており、経年劣化により最高時速430キロが出せていないという残念すぎる状況があります。その上リニア新幹線計画も従来の高速鉄道の3倍のコストがかかるということでリニア新幹線計画も一度頓挫しております。

toyokeizai.net

ドイツでは復活案もあるそうですがまだ机上の空論の段階です。

唯一中国は現在リニア新幹線技術を開発中で、四川省成都市で西南交通大学が実験場を設けており、かつ実際に(まだ実験段階ではありますが)リニア新幹線を走らせようとしている為、日本と真っ向勝負をしているように見えます。

しかし、これはリニア新幹線自体の制作というより、西南交通大学がメディアに語った話によればリニア技術と真空トンネル技術の組み合わせたハイパーループ技術、日本風に言うのであれば「真空チューブ列車」を作るための「途中経過」の一つというのが現状です。この技術自体はアメリカのイーロン・マスク氏も計画しているため、このハイパーループ技術に対して米中が対立している構図があります。

www.afpbb.com

もしJR東海が米中を相手取り、真空チューブ列車を作る計画があるのであれば話は180度変わってくるのですが、もしそうでないのであれば言い方が悪いかもしれませんが「米中にとって途中経過でしかない技術に満足」してしまっている様な気がします。そのようなものを買ってくれる国は現れるのでしょうか。

 

 

一方で今既にあるN700シリーズ、特にN700Sは世界の中でもトップクラスの性能で、また東海道新幹線本体も通勤列車レベルの細かなダイヤを高速鉄道で運行できるシステムを持っています。これを買ってくれたのが台湾とアメリカのテキサス州で、前者は台湾高速鉄道として既に700系をベースとした700Tと一部運行システムを(欧州のシステムと混在)、後者はテキサス新幹線としてN700Sをベースとした車両とテキサス新幹線そのものの運行システムの構築をJR東海が受託しました(運営は残念ながらスペインのrenfeに取られてしまいましたが)。

www.jetro.go.jp

ただ一方でN700Sには大きな問題もあります。それは「とにかくコストが高い」という点です。

実際台湾高速鉄道は700Tの後続車両を求め入札を開始しましたが、台湾高速鉄道は非常に複雑なシステムになっているため結果入札が中止に。

そこで日本側は1編成50億台湾ドル(約186億円)を台湾高速鉄道に提示しましたが、これは700Tの1編成あたり16億台湾ドル(約50億円)の3倍以上にもなります。

勿論N700Sは700系より遥かに性能が上がったのもあり、多少の値上げは仕方ない面もありますが、それにしたって値段が上がりすぎです。台湾高速鉄道は完全にガラパゴスなためこの提示を受け入れる他はないと思いますが、そうなると台湾高速鉄道は政府の援助も受けているため、政治的に「日本は断れないと知りつつ前の車両の3倍に値段を釣り上げ突きつけてきた」と言われる危険性も高くなってしまいます。

 

しかし、そんな高いN700Sをアメリカは買ってくれました。

アメリカが何故高い日本の新幹線を買ってくれたのか?その理由はアメリカの鉄道の現状です。

アメリカは先進国でありながら完全に鉄道が死んでおり、殆どのアメリカ人は移動には自家用車、もしくは飛行機を使います。鉄道も通ってはいますがほぼ貨物線状態で、その様な場所に高速鉄道を通すのは論外です。よって、ヨーロッパで多く採用されている在来線と高速鉄道が同じ路線を走るシステム自体が受け入れられなったわけです。

そこでアメリカが目をつけたのが日本式の高架化された在来線とは異なる完全独立の専用路線。これによって運行されることで事故や列車の遅れを防ぐことが出来る―――そう考え、前トランプ政権(というよりテキサス州)は日本にテキサス新幹線を任せることになりました。問題としては収支が成り立つのか?そして鉄道にそこまで興味がないトランプ政権は補助金を出してくれるのか?という点でしたが、バイデン政権に変わり、鉄道産業への投資を確約。不安点はほぼ解消されたと言っていいでしょう。

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テキサス新幹線の駅内部。車両がN700Sそのもの。


www.sankeibiz.jp

ただし、残念ながらアメリカのような特殊な事例は少なく、ヨーロッパのように既にある程度高速鉄道のシステムが成立している場所は基本的には日本式のシステムなんぞ入れる必要はないし、ましてやN700Sを入れる意味もないわけです。

但し問題点がないわけではありません。ドイツ鉄道で使われている高速鉄道車両ICEは冷暖房器具に問題があり、特に夏には故障が相次いだりしています。そしてシステム自体にも問題があり、1時間2時間遅れはしょっちゅう、最悪発車時刻になるまで運休が公表されないなんてこともあります。

イギリスも似たような状況が続いたことがありましたが、日立製作所がイギリスに直接自社製品を持ち込み営業し、また問題を抱えた鉄道車両の更新案件を難しいながらもあえて受け、地味に、しかし確実に直していった結果、現在イギリスで走る高速鉄道日立製作所製がかなりの割合を占める大成功を収めました。また、現地に工場を置くことで雇用も生まれ、イギリス国民、そしてイギリス政府に絶大的な信頼を得ることが出来ました。結果イギリス国家の一大プロジェクトである完全高架化の超高速鉄道High Speed 2 の車両にも日立製作所が選ばれました。

www.hitachirail.com

このように実際にカスタマーが何を求めているのか、何をすれば信頼してくれるのか、何をすれば選んでくれるのかということに対するリサーチは成功するために絶対必要であると確信しています。一方で現在のJR東海はそういったリサーチが上で述べた台湾の件やテキサス新幹線の運営権をrenfeに取られてしまうなど、どうしてもあと一歩のところで詰めが甘いなと感じます。JR東海は是非、N700Sの技術を始め今まで培った新幹線技術を応用し、海外の需要にあった車両を制作してみてはいかがでしょうか。間違いなくポテンシャルとしては日立製作所かそれ以上あると私は考えております。